※お詫び 本日は午前9時から全議員総出で、10月に開催される「議会報告会」のチラシの仕分け作業を行うことになっていましたが、16人の議員でただ1人、私大石健司だけが、集合時間を勘違いして参加しませんでした。ご迷惑、ご心配をおかけした同僚議員のみなさまに心からお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。
午後から、議員全員でバスに乗り、静岡市文化会館で行われた『静岡県市町議会議員研修会』に参加しました。静岡県内の全35市町のほとんど全議員が集結するというとてもスケールの大きな勉強会でした。あちらこちらに普段からお世話になっている先輩市議、町議のみなさんがいらっしゃるのでとても緊張しました。
「研修会」といっても、何かを話し合うわけではなく、著名なゲストの講演を聞くという機会でした。今回は元NHK解説委員、前学習院大学特別専任教授の平野次郎氏(73)による『世界を読む、日本を読む』という講演を拝聴しました。NHK時代は政治部記者や米ワシントン支局特派員などを歴任されただけでなく、私が学生時代には「NHKニュースワイド」などの名物番組のキャスターとしても大活躍されていた憧れの『国際派ジャーナリスト』のお話をワクワクしながら聞き始めたのでしたが…スタートからちょっと違和感を感じてしまいました。
なにより、ニュース番組黎明期の1980年代に弁舌鋭く世界情勢を解説していたイメージが強すぎるせいでしょうか、30数年たった現在は声に張りがなく、マイクを通じてもよく聞き取れないのです。そして、NHK解説委員を退任されて10年も経ち現場の生の情報から隔絶されていまったせいか、話される内容はパレスチナやウクライナ、北朝鮮などの現在進行形の生々しいニュースの解説は皆無。米ソ冷戦当時のエピソードや、当時と現代の世界情勢、さまざまなデータの比較と説明が中心でした。
さらには、今の安倍首相を「スーパーマンなのか? それとも回っていなければ倒れてしまうコマなのか?」と例えた上で、自民党と安倍政権の進める憲法解釈の変更などの政策の「問題点」「危険性」を次々と、遠回しに例示はされるのですが…それでは、日本はこれからどうすべきか? 不安定さを増すばかりの国際社会の中でどう立ち回ればいいのか? というご自身の意見や提言はされないので…聞いていてとても欲求不満が募りました。
いつの時代も、ジャーリストは体制に批判的な目で対峙し、問題点を指摘するのが使命だとは思いますが…海千山千の地方政治家を納得させるような新事実も、説得力のある主張も…残念ながら感じられませんでした。
壇上からアシスタントに手渡して、順次プロジェクターで披露する資料も、安倍首相のホームページやネット百科事典のウィキペディアのコピーなど、ネットから拾ってきた無償の公開データばかり。まるで、大学で日本の第2次大戦後の現代史や国際政治の授業の講義のように…平野氏の考える史実を淡々と解説されるだけなので…会場では居眠りをする議員が続出しました。
それでも、普段われわれが知らない多くの興味深いデータをご紹介くださったので、主なものを引用してみます。
現在の世界の総人口は72億人。1位の中国は13億6000万人、2位インド(12億4300万人)、3位米国(3億1600万人)と続き、日本は10位(1億2700万人)。。。上位の国で、日本だけが人口が減少しており、2004年の出生率(1.29)で今後も推移するとすると…2050年には8800万人、2100年には4100万人、2500年には7500人となって…西暦3200年に1人となって、日本人は絶滅することになるそうです。(あくまで数字上ですが…)
中国の平均寿命は75歳。今の国民全員の平均年齢は36.7歳だそうです。インドは平均寿命66歳、平均年齢は27歳、米国は平均寿命79歳で平均年齢37.6歳……なのに、日本は今や平均寿命が84歳!!、そして国民全体の平均年齢は46.1歳!!! いずれもダントツに世界1位だとか。。さあ、困ったどうすればいいのでしょう? その答えも対策も、平野氏は教えてはくださいませんでしたが…「それは政治家のみなさんが先頭に立って考えてください」という無言の忠告だったと解釈します。
ほかにも「1990年代には世界1位だった日本の国際競争力は、今では20位台」だとか「かつては米国に次いで世界2位だったGDPは、今は5位(5.4%)になってしまった」ことなどを丁寧に説明してくださいました。これからますます「膨らむ世界と縮む日本」という構図が進むことでしょう。国会議員だけでなく、われわれ地方の政治家も、これから同じ危機感を共有して、みんな知恵を出し合って行かねばなりません…という感じのありきたりの決意表明をすることぐらいしか思いつかないほど、いろいろ考えさせられた講演でした。