牧之原市議会の9月定例会が、終わりました。本日の最終日までに、市当局が提出した『平成26年度決算認定』など…議案15件、諮問3件、認定6件、そして議員発議2件のすべてが、賛成多数で原案通り認定・可決されました。
…というように、新聞調にあっさり書くと…「相変わらず市議会は、行政の施策や人事をそのまま追認しているだけだなー!」と思う方が多いと思いますが…違いますよね?? この採決に至るまで、われわれはさまざまな舞台と手段で、当局と喧々諤々&丁々発止のやりとりを続けてきたことは、このブログを読んでくださっているみなさんにだけは、わかっていただけるかと信じています。でも、心配なのは、明日の新聞で結果だけを知る一般市民の方々の反応です。。
さらに午後には…約108万円の「使途不明金事件」に揺れる『吉田町牧之原市広域施設組合』議会の9月定例会に、出席しました。
注目の「平成26年度決算」は、質疑続出で3時間45分に及ぶ大紛糾の末に…「早期の原因究明と現金回収および吉田町民、牧之原市民の納得できる再発防止策と説明責任を果たし、信頼回復に努めることを強く求める」という「付帯決議」とともに、全会一致で認定されました。
◆付帯決議 議会や委員会が議案の採決や決算の認定に際し、当局側に「留意事項」を示したもの。実際には条文を修正するには至らなかったものの、これを付帯決議に盛り込むことにより、その後の運用に対して注文を付けるといった意味合いがある。この決議には、政治的効果があるのみで、法的な拘束力を有するものではないが、当局側は道義的に、これを尊重し、誠実に対応することが求められる
それでは、付帯決議とセットでの認定に至った経緯を説明します。組合管理者の吉田町長から、われわれ議会に提出された『平成26年度一般会計歳入歳出決算書』の表記は以下の通りでした。つまり、清掃センターにおけるゴミの一般搬入手数料として、いったんは「領収」した現金が消えてしまっているので、歳入には計上した上で、わざわざ注釈で、108万810円が…「使途不明による現金不足額」と明記して、正式な決算書として提出されたわけです。
きわめて異例の決算書ではありますが…当局によると、この方式は過去の全国での同様のケース(横領事件、使途不明金事件)でも採用されている形だそうです。しかし、当然のことながら、「収入としては計上しましたが、実際にはありません!」というお金の報告を、われわれ議会が「はい。そうですか」と認めるわけにはいきません。
当局側も、「このままでは乗り切れない」と思ったのでしょう。これまでは「警察が捜査中なので…」という理由で、一切明らかにしてこなかった事件の経緯を下の写真の文書で報告してくれました。さて…みなさんは、これをお読みになってどう思われます? よくわかりませんよね?
口頭での説明の内容も併せて解説しますと…4月7日に清掃センター職員が、金融機関での納入の際に現金不足から不明金の存在を発見し、所長に報告して以来、組合事務局に報告されるまで実に17日。。そして、組合事務局から組合管理者に報告され、調査委員会が設置されるまでにさらに2週間(14日)。。 最終的に牧之原警察署に「被害届」を提出したのが、さらに3週間後の6月1日だったというのです。
その2カ月間に、それぞれの部署で「内部調査」が実施されて、金額は当初の61万4040円から108万810円に増えたそうですが…この経緯と調査のやり方を見る限り、外部からの侵入者による窃盗事件の可能性はありえず、容疑者は特定できないまでも、センター内部の者の犯行ということになるわけです。だとしたら、各部署の責任者の対応は、あまりにも遅すぎるし、遅かったために、いまだに事件の解明と容疑者の特定ができないような状況(証拠隠滅、口裏合わせ等々)を生み出してしまったと言わざるを得ないのです。
加えて、(2)に記された『再発防止策』もちょっと理解に苦しみます。そもそも、収納結果の報告や金融機関への預け入れが従来のように「不定期」だろうが「毎日」だろうが…銀行へ預入の金額と帳簿の記載額、そして金庫内の現金の総額は、毎回一致していなければならないはずですよね? そういったさまざまな疑問点、矛盾点を複数の議員が、語気を強めて追及したのですが、満足のいく答弁はありませんでした。
さらに当初から「過去数年間の総額」とされてきた約108万円の使途不明金の全額が「すべて平成26年度中のものでした」「それ以前に関しては、帳簿上と決算書の数字が合致していたため、調べていません。すでに議会で認定されていますし」という答弁には、議員席から失笑が漏れました。
こういう不備と不手際だらけの決算だけに、「不承認」という選択も十分に考えられたわけですが…すでに執行されてしまった広域施設組合の全事業の総額22億円超の決算全体を認めなければ、その金額を基に計上された本年度の当初予算、そして今回も提出された組合職員の給与にも関わる補正予算までも承認できなくなってしまいます。
我々14人の組合議員は、会議の途中で急きょ開いた3回の議員全員協議会で対応を真剣に協議。。決算認定の否決ではなく、付帯決議の全会一致での可決という方策を選択したのです。私自身、 最後の最後まで、承認の起立をするかどうか悩みましたが…結果的にこれで良かったと思っています。
付帯決議には法的拘束力はありませんが…警察の対応が決まらない限り、今回の約108万円は永遠に「欠損」として処理計上できず、「未収金」として簿内に残り続けるだけに、かなりのインパクトを与えることになります。閉会前の管理者挨拶で、田村吉田町長は「付帯決議を厳粛に受け止め、これまで以上に襟を正し、1日も早い事態の解明と町民・市民への説明を目指します」と約束されました。
「ぜひとも、そうあってほしい」と組合議員一同、心から期待しています。