令和初の一般質問
初めての県議会での一般質問は、感慨と感動に満ちた…しかし、かなり残念でほろ苦いデビュー戦となりました。
67人の同僚議員と30数人の県庁職員、そして40人を超える応援団のみなさまの熱い視線を浴びて、今の自分に出せる力は出し切りましたが、百戦錬磨の川勝知事の応対は、二歩も三歩も上でした。
答弁の冒頭で、私の父との思い出話を目を細めて懐かしそうに語りかけていただいた時は、不覚にも目がウルウルしてしまったのですが……蓋を開けてみたら、こちらが優先順位順に伺った質問の3番目だけをお答えになっただけで、あとの答弁も再質問も副知事と担当部局長に丸投げ!! ずっこけてから、がっかりしました。
まあ、それでもアドリブも含め、言いたいことは大分言えましたし、議場も少しは盛り上げて、気持ちはよかったです。IRに関する県の基本姿勢についての質問には、実質〝ゼロ回答〟でしたが…知事の態度と表情に「やりたくない」「興味ない」という本音が垣間見えたので、質問した意義はあったと思います。
本日の私の質問(…の原稿)は、以下の通りです。県の回答は、明日以降に入手した時点で掲載します!
みなさまこんにちは。歴史的な令和元年度、最初の県議会定例会で、昨日からの3会派の代表質問に引き続き、1年生議員の私が一般質問の先陣を切らせていただけることを光栄に存じるとともに、緊張と責任で身の引き締まる思いです。
私は無所属の新人ではございますが、365万人の静岡県民、そして議員1人あたりの人口が県内でもっとも多い牧之原市・吉田町選挙区の代表である矜持を胸に、通告に従い県政の諸課題について、知事、副知事及び関係部局長に、分割方式にて質問いたします。
はじめに、統合型リゾート(IR)構想に対する県の基本姿勢について、お伺いいたします。
昨年7月の国会での『IR(統合型リゾート)整備法』の成立を受け、大阪を始め、日本各地に誘致を目指す動きが本格化してまいりました。静岡県内では私の地元である牧之原市において、地元事業者らの結成した誘致促進委員会が昨年11月、市に対して誘致推進の要望書を提出。年明けからは独自に海外視察や勉強会を開催するなど積極的な誘致活動を展開しています。これに対して、牧之原市も杉本市長自らがメディアや公の場で、再三にわたり、誘致に前向きな姿勢を示しています。3月には建設候補地を提案し、当該地区の総会で同意を得たとし、市主催で一般市民への説明会も実施されています。
IRについては、メリットとして推進派・賛成派の言う「地域おこし」や「破格の財源創出」などが期待される一方で、デメリットとして「破産者やギャンブル依存症患者の激増」や「国民資産の海外流出」なども懸念されています。牧之原市では、誘致に反対する市民らもこれまで独自に学習会を何度も開催しているほか、市に対して公開質問状を提出するなど、地域の中で意見の対立が際立っております。今月17日の牧之原市議会の一般質問でもこの問題が取り上げられ、候補地の選定や地元区の同意の経緯などを巡って激しい議論が繰り広げられました。
さて知事は、本年2月の定例会で、当時自民改革会議の天野進吾先生による「日本平におけるIRを含めた総合的開発について」という一般質問に対し、「国内外からの観光交流客の拡大と周辺地域の経済の活性化を目指すという、まことにでっかい夢のある構想であると感心してお聞きいたしました」とお答えになりました。御承知の通り、IR実施法においては誘致の主体となれるのは「都道府県または政令指定都市」ですが、前回は、政令指定都市の静岡市の日本平を舞台とした質問だっただけに、知事は「目下のところ静岡市からはそのような動きは見られません」と客観的な立場から発言されました。
しかしながら、今や県内では唯一、IR誘致の動きのある牧之原市は、人口わずか4万6000人。もちろん政令指定都市ではございません。仮に実現すれば、地元はもちろん、県民全体の将来を大きく左右する年間売り上げ数千億円、県の納付金収入1000億円超とも囁かれる巨大なプロジェクトですが、今回はIRの誘致を検討するのも、国への申請主体となるのも静岡県ということになるわけです。つまり、牧之原市においては、地域の合意形成を進めるにあたり、IRに対しての川勝県政のスタンスと基本姿勢を十分に理解した上で、誘致の是非の検討や議論をさらに展開させることが不可欠であると考えます。
そこで、知事にお伺いいたします。知事はご自身の目指す地域づくりを進めるという観点から、国のIR構想について、誘致の主体者となるかもしれないお立場として、どのように評価されているのでしょうか。また、今後、政令指定都市以外の地域の案件について、県は国への申請を検討するにあたり、何を基準にとして、本県への誘致の是非を判断されるのか、お伺いいたします。
さらにもう1点。新聞報道によれば、当初は今夏に予定されていた国のIR整備にあたっての基本方針の公表が、来年にずれこむ公算になったとのことですが、5年後の2024年の開業に向け先行している大阪と同様に、もしも静岡県が全国で「最大3カ所」が認定される国の「IR第1弾」を目指すとなれば、国への申請までの時間は限られてきます。
そこで、県では現時点で、第1弾を目指す場合における、地元自治体からの事業計画や正式申請のタイムリミットをどのように考えているのか、お伺いいたします。
次に、富士山静岡空港への新幹線新駅設置に向けた取り組みについて、お伺いいたします。
今月4日に開港10周年を迎えた富士山静岡空港の10年は、川勝県政の10年でもありました。
この4月から公共施設等運営権制度を活用した新しい運営体制に移行されましたが、ここにいたるまでの数年間で、知事の強力なリーダシップの下、官民一体の取り組みにより、旅客ターミナルビルの増築・改修、オフサイトセンター移転、大規模な広域防災拠点としての整備、格納庫の完成など、空港機能が大幅に向上され、地元住民の1人として、大変うれしく、ありがたく思っているところでございます。
2018年度は、年間搭乗者数がついに、開港後初めて70万人を超えました。運営権者の提案によれば、今後も新路線誘致を進め、5年目の2023年には101万人、20年目の2038年には135万人にまで増加させる目標であると伺いました。世界に開かれた本県の空の玄関口として、これからの令和の時代にますます成長と発展が期待されるわけですが、この空港の機能と利便性をさらに一段階、いや飛躍的に引き上げるために不可欠なのは、やはり新幹線新駅であるということは、論をまたないところであります。
新幹線新駅は、空港建設決定時の前提条件であり、関係各位、地域住民の30数年来の悲願です。私の亡き父が、40年の政治家人生をかけて取り組んだ、今も見果てぬ夢でもあります。「新幹線駅なくして、富士山静岡空港の真の完成はないのだ」という気概を、どうか知事にも絶対に堅持し続けていただきたいと心から願ってやみません。
県は、2014年度以降、毎年調査費を予算に計上し、新駅実現への意気込みを示していると理解しておりますが、JR東海はかたくなに建設を否定し続け、県との協議すら応じていない状況にあることが残念でなりません。そんな中、リニア中央新幹線の南アルプストンネルの工事着工について、知事が大井川水系の流量減少を危惧するお立場から終始、毅然とした態度を貫かれていることを私は高く評価いたしますし、個人的にはこのことが、空港新駅に関してもJR東海を話し合いの場に就かせる糸口、いや突破口となることを強く期待しているところであります。
さて、平成時代の最後まで進展の見られなかった新駅予定地周辺地域においては、これまでの県の取り組みが住民に十分に伝わっているわけではございません。この先、悲願の空港新駅を実現するためには、JR東海の翻意と協力はもちろんでありますが、今まで以上地域の理解と後押しが絶対に不可避であることは言うまでもございません。
そこで、県は今後、新駅予定地周辺地域において、機運醸成や環境整備のために、どのような活動や対応をしていく予定であるのか、お伺いいたします
次に、全県的な観光地域づくりについて、お伺いいたします。
いよいよこの秋にラグビーワールドカップ2019、来年には東京2020オリンピック・パラリンピックが開催され、日本全国はもとより、世界の人々が本県にもやってきます。この方々を単なるスポーツ観戦者に終わらせず、本県の隅々まで足を延ばしてもらえる観光客として着実に取り込めるよう、全県的に魅力ある観光地域づくりを進めることが急務だと、私は思います。
私の地元の牧之原市や吉田町は、牧之原大茶園のお茶を始め、トマトやレタス、シラスやウナギなどの特産の農水産物。静波や相良などの美しい海水浴場、今年が生誕300年の江戸中期の著名な老中・田沼意次をはじめとする歴史的人物、史跡や文化遺産など、世界に誇れる魅力にあふれています。当然、こうした特色ある資源を活かした観光地域づくりとそのキャンペーンに、全力で取り組んでいることは言うまでもありませんが、各市町単独での努力や活動には限界があり、現時点では、はかばかしい成果は上がっていません
県では「訪れてよし」「住んでよし」の好循環を生むために、地域内経済の拡大を図り、持続的な発展を実現するため、観光地域作りのかじ取り役であるDMO(Destination Marketing/Management Organization)への支援を通じて、県内各地の魅力ある観光資源を生かした社会総がかりによる観光地域づくりを推進していると伺いました。
牧之原市、吉田町を含む県中部エリアの5市2町には、観光経済拡大を担うDMO「(公財)するが企画観光局」が誕生し、今年で3年目を迎えました。エリア内の市町が、負担金を出し合って運営し、各地のポテンシャルを磨き上げ、観光商品として県外に情報提供しており、例えば、地元のお茶やカツオの新メニュー等を前面に打ち出しての首都圏等への売り込みなど「食」を切り口にした人気コンテンツが生まれ始めています。しかし、わずか7つの自治体間でも、担当者による発信力の違いや温度差もあり、情報やイベントの偏りが見られます。
また県とJRグループとの共催で、昨年から3年間にわたって実施されている「静岡デスティネーションキャンペーン(通称DC)」にあたっては「県内全市町が商品(コンテンツ)を出し合い、総力を挙げて県外からの観光客を呼び込む」という当初の触れ込みにもかかわらず、私の住む榛南地域などJR沿線ではない地域においては、JR最寄り駅からの連結として、バスなどの二次交通確保等の課題があり、残念ながらDCの効果がほとんど感じられておりません。
一方、外国人観光客の取り込みのためには、静岡ツーリズムビューローが司令塔となり、本県へのインバウンド対策を推進しておりますが、こちらも地域によって、その効果の実感が薄いのが現状です。本県が真の魅力ある観光県となるためには、全県を網羅した取り組みと各地域の観光資源を繋ぐ機能を強化することがきわめて重要だと思っております。
そこで、県は、全県的な観光地域づくりに向け、これからどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
以上、答弁を求めます。
次に、地震・津波対策の推進について、お伺いいたします。
県は「静岡県地震・津波対策アクションプログラム2013」に基づき、県内全域で地震・津波対策を進めていると承知しております。同じ2013年に県のまとめた「第4次地震被害想定」で、1000年に1度クラスのレベル2の巨大地震による津波によって「最大1万3000人の死者が出る」と想定された私の住む牧之原市では、幸い国や県の厚遇により、津波避難タワーや命山の設置は計画的に進み、現在は避難路や避難施設の整備に、鋭意取り組んでいるところでございます。
一方、県が対応するレベル1(100年に1度クラス)の大地震による津波防潮堤の整備も、徐々に進んではいるものの、個々に見てみると、県内各地域の事情により、進捗に差があるのは否めないと考えております。
前述のように県内最大規模の津波被害が想定される牧之原市内でも現在、県は、二級河川坂口谷川河口への水門整備や15㎞におよぶ海岸線への保全施設の整備に着手しています。相良須々木海岸では、昨年度までに約4.1kmの海岸線のうち約290mが完成しましたが、全区間の完成には、まだまだ時間を要するものと推察せざるをえません。地頭方小学校周辺や片浜海岸等、地元が整備を強く望んでいる区間もあり、今後の更なる進捗を望むところであります。
津波避難タワーなどのハード面の整備に加え、津波から逃げるためのソフト対策など、アクションプログラムに掲げる施策をはじめ、政策を総動員して県内全域で減災目標達成に取り組む必要があると思います。
そこで、県はアクションプログラムの着実な目標達成に向け、ハード対策、ソフト対策に、それぞれ今後どのように取り組んでいくつもりか、お伺いいたします。
次に、静岡茶の振興に向けた取り組みについて、お伺いいたします。
本年の静岡茶市場における県産一番茶の取扱量は約930トンとされ、昨年実績より2割減となる見通しです。一方、1キロ当りの平均単価は、平成に入って過去最低だった昨年並みの価格と見込まれているそうです。減産と安値のダブルパンチで、茶業の経営はいよいよ厳しさを増していると言わざるをえません。
茶価の低迷が長期化する中で、茶業の再建を図るためには、生産者と流通業者、小売業者など、すべての関係者が危機感を共有し、一致団結して知恵を出し合い、課題克服を目指す必要があるとよく言われます。
私は浪人中だった昨年、昵懇にしている地元のお茶屋さんに頼まれ、東京・代々木公園で開催された物産展のブースの前で、生まれて初めて静岡の深蒸し茶を売るというアルバイトをしました。これが結構売れました。やはり、まだまだ「静岡のお茶」は、大都会では市民権を得ていると感じました。「静岡の新茶です」と声を掛けると、東京の人は立ち止まり、試飲の1杯を飲み、喜んで買ってくださるのです。
最高のお茶を作り続けるだけでなく、それを全国にしっかりPRする技術や手法を磨き、発信機会や販路を確保、開拓していけさえすれば、過当競争の中でもわが静岡のお茶は必ず生き残れると、私は確信しています。
一方で、生産者からは栽培管理の更なる効率化や緑茶の用途拡大に伴う技術開発などを望む声があります。建て替えを検討している菊川市の県の茶業研究センターの新しい機能として、例えば作業の効率化や製造技術の向上につながる研究を進め、その成果を生産者に広く伝えるとともに、販路拡大策の研究・提案などにも、積極的にチャレンジすることも大切ではないかと思っています。
こうした課題と提案を踏まえ、県は今年度、茶業の振興にどのように取り組むのか、お伺いいたします。
最後に、医師不足が深刻な地域医療について、お伺いいたします。
厚生労働省の隔年調査「医師・歯科医師・薬剤師調査」によると、本県の人口10万人あたりの医師数は、平成28年12月31日現在200.8人と、全国平均の240.1人に比べ大きく見劣りし、全国40位と深刻な状況に陥っているとのことです。
また、県内でも8つに区分された「二次保健医療圏」における医師数も、偏在が顕著です。人口10万人あたりの医師数では、西部(浜松市・湖西市)の244.8人、静岡の229.5人などに対し、賀茂(伊豆半島)は148.8人、中東遠146.3人となっており、私の地元・志太榛原圏域も155.3人と本県の平均に比べ、極端に少ない状況となっています。
さらに、同じ圏域の中でも、医師数は都市部に集中する傾向が顕著です。地元の話ばかりで恐縮ですが、例えば志太榛原地域の中でも、藤枝市の医師数が267人であるのに対し、牧之原市の医師数はわずか35人となっています。
加えて、牧之原市では、市内の開業医の医師の高齢化も進み、後継者不足も顕著です。過去十年間で新規に開業した医師はなく、市民の40%が市外の病院に通院しているそうです。さらに現在、牧之原市には、妊婦が赤ちゃんを産める産婦人科医院も、助産院もございません。地域の医療体制、特に救急医療の崩壊が、深刻に懸念されている非常事態です。
こうした状況を踏まえると、県には、特に医師が不足している地域への医師配置の促進や、産婦人科や脳神経外科など、医療圏内外での病院の広域連携推進のためのリーダシップが、強く求められていると考えます。
県は、本年2月定例会での答弁において、創設から10年を経過した医学修学研修資金制度の見直しについても言及されましたが、それ以外にも医師確保と偏在解消に一層、全力で取り組む必要があると考えます。
そこで、志太榛原圏域をはじめとして、県下における医師不足が深刻な地域医療への対応について、県の取り組み方針を伺います。
以上、答弁を求めます。
本日は、妻のマリアネラの誕生日です。。上の写真は2年前、相次いで私の両親が亡くなって、我が家の家族が4人になってから初めての彼女の誕生日でした。
あれから2年。双子の息子は家を出て…私はここ数週間、知事への一般質問のことで、頭がいっぱいで…夫婦の会話は減る一方。口を開けば大ゲンカという日々が続いていたことを率直に後悔し、反省しています。
それでも文句も言わずに、うれしそうに傍聴席まで来てくれた彼女には、頭が上がりません!!