第12回リニア有識者会議
日曜日でしたが…東京での『第12回 リニア中央新幹線静岡工区 有識者会議』をリモート傍聴するため、静岡県庁に行きました。4月17日の第11回以来、実に5カ月ぶりの開催でした。
私は今年度、リニア工事における大井川の水資源や環境問題を所管する『危機管理くらし環境委員会』の所属ではありませんが…流域市町の住民代表として志願し、他の4人の県議の方々とともに出席しました。リモートとはいえ、今回も一般には完全非公開の会議を、マスコミと一緒にフルタイム&ライブで視聴できた貴重な機会でした。
本日は、これまでの1年半、11回の会議で議論され、一定の合意を得た内容を事務局が「たたき台」としてまとめた『大井川水資源問題に関する中間報告(案)』の中身について、話し合いました。6月の知事選の結果、そして先日のJR東海の金子社長と流域市町の首長との意見交換会を受けて、JR東海が何ならかの姿勢や対応の変化を見せるのか? そして、有識者会議のみなさんが、どのような中間報告をまとめ、この先どういった着地点を目指していくのか? を注目して視聴していたわけですが…
よく考えれば…これまで1年半の議論の流れの集約の舞台で、この数カ月でさらに顕在化した静岡県や流域市町の懸念や不安を反映した方向性の修正が、ここにきて突然行われるはずもなく…結局のところ、これまでの各回の議論の後に『座長コメント』等で要約されてきた項目ごとの検証や概要の文章を確認し、問題があれば意見を出し合って修正するという〝かなり退屈な作業〟の映像がスクリーンに展開されました。
それでも、約2時間に及んだ中間報告案の精査の結果、これまでのJR東海の解析結果を受けて、基本的には「リニアのトンネル工事に伴う大井川の中流や下流域の地下水への影響は極めて小さい」といったような表現が数多く見受けられるものの…一部の委員から「JRの考える〝極めて小さい影響〟と、流域住民の不安視する影響は同じではない!」「地元に対し、上から目線ではなく、心のこもった説明や分かりやすい数値を含めた情報共有を行い、理解と信頼を得る作業が今、もっとも求められている」などの意見が出ました。
そして、今回は会議の最後に、福岡捷二座長(中央大学研究開発機構教授)が、毎回オブザーバーとして参加している静岡県の難波喬司副知事に発言の機会を与えたことで、公の場で静岡県の意見が専門家のみなさんにストレートに伝わった形となりました。
難波知事は「静岡県とJRとの対話が長く膠着状態となっていた中、水問題について熱心な議論と、JRへの指導をありがとうございました。JRはこれまで、工事による不確実なリスクを考慮することなく『われわれの解析では問題ない!』と理解不能な断定を繰り返してきましたし、その結論を裏付ける資料も提出してくれませんでした。
しかし、最高レベルの専門家のみなさまのご議論とご指導で、JRの対応も変わってきましたし、多くの重要な資料も提出されるようになり、これから話し合いを進められる土壌もできてきました。JRのこれからの県民との対話の進展と信頼関係の構築に期待しています」と、いつになく前向きに、成果を語りました。
これには、福岡座長も「静岡県の御意見、ご要望は、我々にとっては大変重たく、考えらせられるものです。県民のみなさんの不安と心配の解消に向け、しっかりと我々にの専門性を発揮しなければと思います。次回にもう1度、課題と内容を整理したいと思います」と話し、次回の第13回会議(日時未定)で、中間報告を正式にまとめ上げることを明言しました。