県政史上初の異色ペア
7月1日(月)から始まる静岡県議会の産業委員会で…〝県政史上初めて〟という画期的で素晴らしい出来事が、実現します!
両眼に重度の視力障がいを持つ企業局経営課の主幹の岩本多加臣(たかおみ)さん(55)が、盲導犬のカドル君(2)の先導で本館4階の委員会室に入り、出納関連の質疑の説明補助員を務めることになったのです。
1879年(明12)の静岡県議会創立から145年、そして1937年(昭12)の県庁本館竣工から87年。静岡県の歴史上これまで、議場や委員会室に盲導犬や介助犬が足を踏み入れた例はありません。
障がい者や高齢者等、ハンディキャップを抱えた方々が社会生活に参加できるように、物理的障害や精神的障壁を取り除く『バリアフリー』の諸施策の必要性が叫ばれる現代にあって、この静岡県の先進的な理解と取り組みを私は高く評価します。
「若いころは、昼休みに同僚と草サッカーを楽しむのが日課だった」という岩本さんは、30代になって目の異常を自覚。35歳の時に医師から『網膜色素変性症』と診断されました。両眼の網膜の視細胞がどんどん変性してしまい、視野狭窄や視力の低下が進む原因不明の難病で、治療法はありません。
当時7歳と4歳だった2人のお嬢さんが「成人するまでは、公務員として頑張りたい!」と、その後も自力で電車と徒歩での通勤を続けましたが、症状は徐々にですが年々悪化。4年前からは、とうとう白杖なしでは1人で歩けなくなってしまいました。
そんな時、奥様と無事に成人して親元を巣立った娘さんたちから、公益財団法人日本盲導犬協会の存在を知らされ、藁にもすがる思いで相談に出向くと…「盲導犬って、全盲じゃなくても貸していただけるんですよ!」。申請から約1年という異例の速さで、盲導犬になったばかり、人間でいえば20歳の若きラブラドルレトリバーのカドル君を紹介されたのです。
今年5月から6月にかけて1カ月間の有給を取り、富士宮市の訓練センターで、カドル君と〝マンツーワン〟でトレーニングを重ねました。そしてそして、職場の理解もあり2週間前の6月13日からついに、静岡県史に残る異色の〝新米ペア〟として県庁デビューを果たしたのでした。
「ぼんやりとした視界の中央にあるジグソーパズルのような小さな〝覗き穴〟から、パソコンの画面を凝視して仕事をしています」という岩本さんを、通勤や移動を献身的に助け、あらゆる危険から未然に守ってくれる頼もしい相棒です!!
「彼も若い新人だから、時々他の犬に気を取られて寄ってっちゃったり、街中で人に呼ばれて動いちゃったりするんですよ! そもそも、私にまだ全幅の信頼を置いていない感じです(笑) でも、本当に可愛いし、頼りになります」
日本盲導犬協会の規約では、無償で借りている盲導犬は、10歳になったら返さなければなりません。「あと8年間、カドルと一緒にどれだけ仕事ができて、どんな生活を送れるか…今の目標は、こいつと一緒に、公務員生活の定年を迎えることです」
ほとんど見えていない目を輝かせ、岩本さんは力強く決意を語ってくださいました!!(*^^)v
<26日の一般質問>
【赤堀慎吾(66=自民改革会議)】
1 県内イノベーション支援施設間の連携強化について
2 地域の実情に応じた移住促進施策の展開について
3 原子力災害時の避難計画の充実について
4 農地利用の推進について
5 静岡県茶業の振興について
国内のリーフ茶の需要が減少し続けており、今年の株式会社静岡茶市場の一番茶取引価格が記録的安値になる見込みと報道されるなど、リーフ茶中心に生産する静岡県の茶業はますます厳しい状況にある。
一方、健康志向等を背景に、海外での緑茶の需要は拡大傾向にあり、特に抹茶は供給量も足りない状況にあると聞いている。このような状況に対し、市町は独自に茶業の振興策に取り組んでおり、菊川市は、佐川急便と協定を結び、海外向けのインターネットサイトでお茶を紹介し、国内の宅配便と同じ感覚で、小口のお茶を海外に送付できるようにしている。
また、輸出関係者などからは、輸出においては静岡県産のお茶は「静岡茶」に統一したほうが扱いやすいという声を聞く。リーフ茶は「静岡茶」というブランドに統一し、各産地の名前を付記すればブランドとしての認知度は広まりやすく、さらに関心がある消費者は特定の産地のお茶を求めていくものと考える。
拡大する海外需要への対応は重要と考えるが、県はどのように推進していくのか伺う。また、県はChaOIプロジェクトにより、需要に応じた生産体制への転換に必要な施設や機械の整備や、販路拡大の取組に対する支援を行っているが、ハード面やソフト面での支援に加えて、掛川市が茶業版フェアトレードの取組を開始したように、生産者の所得確保につながる方策も必要と考える。
そこで、地域の茶業を支える小規模の生産者への支援策など、今後の茶業振興に
ついて県の所見を伺う。
田保農林水産担当部長:
近年、海外での健康志向の高まりを背景に、有機茶や抹茶の海外需要は増加しており、輸出用緑茶の販路開拓と生産拡大が重要であります。
このため、県では、需要が増加している欧米や東南アジアをターゲットに、輸出を促進することとしており、昨年度は、ラスベガスやマレーシアの商談会で静岡茶ブースを設け、有機茶や高級ボトリングティーを出品し、11件の商談が成立いたしました。
引き続き、商談会への出展など静岡茶の販路開拓に努めてまいります。また、輸出向けの有機茶や抹茶は需要に対して供給が不足していることから、県は茶商と生産者が連携した有機茶栽培の取組を支援しており、病害虫クリーナー等の導入や耐病性品種への転換を進め、栽培面積を令和4年度の266haから来年度は400haに拡大してまいります。
輸出向けの有機茶栽培を行う経営体では、あらかじめ価格を決めた契約栽培により安定した経営を行う事例が多いことから、県では小規模農家もその取組に参加することで所得が確保できるよう、ChaOI(チャオイ)フォーラムでのマッチングや、茶園管理の技術指導に取り組んでまいります。
県といたしましては、急増する海外需要に対応した販路開拓や生産構造への転換を推進し、本県茶業の振興に全力で取り組んでまいります。
6 地元住民等との協働による県管理河川の除草の推進について
【河原崎聖(60=自民改革会議)】
1 遠州灘海浜公園(篠原地区)の野球場について
県は、令和6年2月定例会において、遠州灘海浜公園の基本計画素案の中で、野球場の規模・構造について3案の異なるタイプを示しており、そのまま基本計画として取りまとめる方針を示している。
しかし、莫大な建設費や維持管理費、利用料金、利用の需要、まちづくりなど、まだまだ多くの課題が残されており、今後さらに検討していく必要があると考えている。
ドーム型は空調や照明などを含めた利用料金が高額となり、施設利用者の負担となる可能性もあることから、私は、構造については引き続き慎重な検討が必要であると考えている。
知事は、野球場の構造について、選挙中や就任記者会見の場において、コストダウンを可能にできるという理由で、3案のうちのドーム案について、開放型の構造にするのが現実的、と発言している。どのようなメリットを感じて「開放型ドーム」案を提案したのか、また「開放型ドーム」案のデメリットはないのか伺う。
建設費について、2万2,000人規模のドーム型について約370億円という試算が示されているものの、これについては
2年以上前の試算であり、その後の建設資材や人件費の高騰により、1.5倍以上、つまり、550億円以上になる可能性が高いと聞いている。こうした現状に対して、現実的な対応策はあるのか、伺う。
鈴木知事:
私が選挙期間中から申し上げていた開放型ドームにつきましては、多目的ドーム型のコスト縮減策として考えていたものであり、様々なメリットがある一方、デメリットもあると認識しております。
主なメリットは、降雨の影響が少なく、幅広いイベントも開催可能なドーム球場案の中でも、自然の風が入り込むことで空調設備が不要となり、建設費、維持管理費のコスト縮減や利用料金の低減が見込まれることであります。一方、主なデメリットは、密閉型ドーム球場に比べ、開放部から光や音が漏れ、周囲に影響することや、沿岸部特有の風等の影響が見込まれることであります。
厳しい財政状況下において、資材価格や人件費の高騰等が今後も続くとの想定もあることを踏まえると、整備から完成後の運営までの全体を通して、不断のコスト縮減に努めることが不可欠と認識しております。
議員御指摘の建設費につきましては、国の補助金など既存の制度を活用することに加え、PFI事業等により民間事業者のノウハウを最大限活用することなどにより、財政負担の軽減と平準化を実現してまいります。
県といたしましては、コスト縮減に努めるとともに、整備効果を最大限発揮させる全体的な利活用の構想に基づき、開放型ドーム案も含め、最適な野球場について検討してまいります。
河原崎県議:
野球場の建設費は令和4年度に算出した金額であるが、実態と異なる金額では審査はできないと考える。来週の委員会で精度の高い数字をもとに審査する考えがあるか伺いたい。
鈴木知事:
今の基本計画の概算事業費の扱いでございますが、今後の最適案に絞り込む段階で、最新の概算事業費を算出する予定でございます。
今後、公園を含む全体的な利活用の構想を策定いたします。その中で、民間事業者のノウハウ、技術を、最大限生かした事業費の見直しを行いまして、その整備効果とあわせてお示ししていきたいというふうに考えております。
2 市町におけるファシリティマネジメントの取組に対する支援について
3 中山間地域の防災対策について
4 大井川の健全な河川環境を維持するための堆積土砂対策について
5 大井川鐵道本線の不通区間の復旧について
【杉山淳(61=ふじのくに県民クラブ)】
1 能登半島地震から明らかになった原子力防災の課題について
2 避難所の運営の改善に向けた取組について
3 高等学校の学校図書館の充実について
4 県立3病院の職員の処遇に対する県の助言・関与の必要性について
5 公共交通維持のための取組について
6 犬や猫の殺処分ゼロに向けた取組について
7 袴田事件と再審法改正の動きについて
8 盛土規制法の運用に伴う盛土条例の見直しについて