
リニア中央新幹線の静岡工区の着工を巡り、静岡県の鈴木康友知事(68)は昨日26日の県議会で、わが会派の自民改革会議・伊藤謙一政調副会長(39)が行った〝緊急質問〟に答え…①7月1日にJR東海の丹羽社長と会談。②同7日の6月定例会最終日に着工の判断について県議会で表明し…③7月中に、JR東海との協定締結を目指すとの考えを、初めて公の場で表明しました。
この件に関しては、23日の天野多美子県議(54)による会派代表質問に対し、知事は「着工の判断に必要な材料は着実に整いつつあると認識しており、それほど遠くない時期に、何らかの考えをお示しできるものと考えております」と答弁しました。
しかし、その場では認可日時はもちろん、JR東海とのトップ会談の実施などの具体的なスケジュールには一切言及しなかったにもかかわらず…当日の午後から翌朝にかけて、県内の主要マスコミが次々と「7月1日にJR社長と面会」「7月7日に着工認可を表明」と報じたことで、会派の執行部を中心に「著しい議会軽視だ!」「決まっていたことをあえて隠したのではないか?」という非難の声が続出。急きょ、県政史上ほとんど例がない緊急質問が行われたのでした。
私は、元マスコミ人として、地元各紙・各局がそれぞれの情報源と取材方法により入手した、正式決定前の内定事項を、自社の責任でいち早く報じることを禁止することはできないし、その記事内容について議会側が、いちいち目くじらを立てる必要もないと思っています。
県庁内の情報統制、ガバナンスはしっかりと守っていただきたいですが…相手のある項目が正式決定していない段階で、情報源がJRや国交省だった可能性も含め、どこからか漏れてしまったニュースだったわけですから…鈴木知事は「議会軽視のつもりは毛頭ありませんでした。今後は情報管理を徹底します」と陳謝するだけかと想っていました。
ところが、鬼気迫る表情の伊藤県議の論理的かつ丁寧な質問に対し、鈴木知事は強張った表情で…3日前の代表質問ではおくびにも出さなかった具体的な日付はもちろん、今後の手順の進め方まで詳しく説明したので、ワタシはびっくりしました!
…ということは、鈴木県政では「議場での質問には、詳細な中身まで全部答えなくていい」「新聞報道の後に詳しく説明すればいい」と認識されていたのかもしれません。代表質問時に、第一報を黙っていたことより…こちらの方が、より深刻な問題かもしれませんよね?
伊藤県議と鈴木知事の緊迫&白熱したやりとりの全文は以下の通りです。
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伊藤県議:
自民改革会議の伊藤謙一です。会派を代表し『リニア中央新幹線静岡工区に係る今後の県の対応について』緊急質問として一括質問方式にて鈴木知事に伺います。
私の率直な感想として、リニアをとりまく直近の報道に対し、止まった針を動かそうとここまで進めてきた鈴木知事、JR東海、職員の方々に一定の敬意を持ちながらも、この議場で交わす議論を重んじる私としては一連の報道に少なからず憤りを感じています。そして恐らく静岡県民の代表としてこの議場で、言葉と言葉で真剣に議論を積み重ねてきた議員の方々の中にも、同じ思いの方がいらっしゃると思っています。
さる6月23日の我が会派、天野多美子議員の代表質問において、リニア中央新幹線静岡工区の今後の進め方についてただしたところ、知事からは「遠くない時期に考えを示す」という趣旨の、方向性は示すものの具体的な時期や、協定締結の可否に関しては明確にしない答弁がございました。
しかしながら、その代表質問直後から、ネットニュースや翌日の新聞報道の中で、JR東海社長との面談日程をはじめ、今後の協議の進め方、さらには協定締結の時期に関して具体的な日付も含めた報道が相次いでおります。
リニア問題は、長年にわたり本県県政の最重要課題の一つとして議論がされてきました。大井川流域の水資源の保全、南アルプスの環境保全について、多くの県民、流域市町、利水関係者が関心を寄せ、われわれ県議会としても、多くの議員の方々が丁寧に県の姿勢を確認し、議論を積み重ねてきたと承知をしています。
だからこそ、今回大きな節目を迎えるなかで、重要な情報や今後の日程が、県民の代表である議会の中で答弁された内容よりも、より具体的な形で、その質問直後から報道によって明らかになったことは、県民への説明責任、そして二元代表制の一翼を担う県議会との関係において、決して適切なものではないと強くここで申し上げたいと思います。
わかりやすく申し上げれば、すでに23日の代表質問の時点で、決まっていたことを、この議場において正しく答弁しないことは、この議場での議論を軽視していると受け止めらえますし、一方で23日の時点で仮に決まっていなかったことを、あのように報道されたのであればメディアの方への情報発信等の県のガバナンスの欠如を指摘せざるをえません。
無論わが会派として、こういった状況を踏まえてもJR東海との協議が前進すること自体を否定するものではありません。しかし、重要なのは「いつ着工するか?」だけではなく…「どのような条件が整い、どのような手続きを経て、県としてどのタイミングで判断するのか?」というプロセスを、真摯に県民に対して正確な情報で発信することであります。
そこで鈴木知事に3点伺います。
1点目として、現在報道されているJR東海社長との面談、協定締結に向けた協議など、今後の具体的な協議の場や進め方について、県としてすでに決定している事を、この議場において正式にお示しください。
2点目として、JR東海との自然環境保全協定について、何を盛り込み、どのように実効性を担保し、いつ頃の締結を目指していくのか伺います。
3点目として、先に伺った1点目、2点目を進めていく中で今後、リニア静岡工区の工事着手の可否に対して判断を行うにあたり、流域市町、利水関係者、そして県議会に対して、どの段階で、どのような形で説明し、理解を得ていくのかお伺いします。
リニア問題は静岡県だけでなく、国全体が注目する課題であります。だからこそ、最後の判断に向かう過程では、情報が報道先行となるのではなく、県民に開かれた形で、そして県議会との信頼関係のもと進めることが不可欠であると思っています。
知事の明確な答弁を求めます。
鈴木知事:
伊藤謙一議員にお答えいたします。
まず、県議会との関係及び情報に関するガバナンスについての御指摘は、もっともでございます。リニア事業は、県のみならず、国、JR東海など、多くの機関が関わっておりますので、そうした機関も含めて、改めて情報管理の徹底を図ってまいります。なお、私から事務方に対し、緊張感を持った対応を徹底するよう、すでに指示しているところでありますので、よろしくお願い申し上げます。
1点目の、今後の具体的な日程や進め方についてであります。かねてより申し上げているとおり、JR東海による県民への説明状況と工事に必要な法令上の手続状況とを勘案し、県とJR東海との間で自然環境保全協定を締結することが、リニア工事着工の前提となります。
これを踏まえた今後の手続でございますが、6月22日にJR東海による説明会が終了したことを踏まえ、7月1日にJR東海の社長と面会し、県民への説明状況を確認することといたしました。面会の結果につきましては、7月2日中に、議員のみなさまにお伝えできるようにしたいと考えております。
また、河川法や盛土規制法等に関する法令手続でありますが、協議は続いているものの最終的な段階にあると承知をしております。こうした住民への説明状況及び法令手続の見通しについて確認した上で、私自身の判断をまとめてまいります。
私自身の判断につきましては、本定例会最終日であります7月7日に機会をいただき、県議会のみなさまに対し御説明したいと考えていおりますので、御配慮いただければ幸いに存じます。
なお、私が、工事着工の前提である協定締結が可能であると判断した場合には、速やかに関係者と最終調整した上で日程を確定し、可能であれば、7月中の締結を目指してまいりたいと考えております。したがって、現時点において、協定締結の日程を決定しているということはございません。
次に、2点目の、県自然環境保全条例に基づき県とJR東海との間で締結する自然環境保全協定の内容についてであります。本協定には、長きにわたる県専門部会等における科学的・工学的な見地からの議論の結果、JR東海が実施することとなった水資源、生物多様性及びトンネル発生土に関する環境保全措置及び今後の継続的に実施するモニタリング等について、詳細に記載をいたします。
当該環境保全措置とモニタリング等の内容につきましては、5月15日に県環境影響評価条例に基づく事後調査報告書として公表し、静岡市や関係者の意見を伺ってきたところでありますが、概ね問題ないとされております。
また、実効性の担保でありますが、県議会からも御指摘いただいていたとおり、工事中から工事完了後を含め、JR東海が実施する環境保全措置やモニタリング等の状況を徹底的に監視することが重要であります。
したがって、県、国、地域及びJR東海が連携し、機動的に対応する新たなモニタリング体制として、環境影響評価審査会の下に中央新幹線部会を設置し、JR東海が実施する環境保全措置等の状況をしっかりと確認・評価し、監視する体制を整えてまいります。
加えて、当該工事において不測の事態等が生じた場合には、直ちに工事を一時中断し、その原因を調査するとともに、専門家等の意見を聴き、県と協議の上、対策を講じる旨についても、本協定に明記をしてまいります。また、今年1月には、万が一の場合に備えて、国の立会いの下、県とJR東海との間で、大井川の水利用に影響が生じた場合の対応について、請求の期限や対象期間についてあらかじめ期限を定めることはしないことなど、他に例のない内容を盛り込んだ文書も締結をしております。
なお、この文書の内容につきましては、流域市町及び利水関係者にも御了解をいただいております。こうした異例の文書と、自然環境保全協定及びモニタリング体制があいまって、実効性が強力に担保されていくことになると考えております。なお、協定締結の時期でありますが、先ほど申し上げましたとおり、協定締結が可能と判断した場合には、7月中の締結を目指して作業を進めてまいります。
次に、3点目のうち、着工判断に当たっての流域市町や利水関係者への御説明についてであります。本年3月末に県専門部会でのJR東海との対話が全て完了した後、大井川利水関係協議会、県中央新幹線環境保全連絡会議、県環境影響評価審査会など関係する会議体において、県として、JR東海が今後実施することになる環境保全措置等の内容やその実施状況を監視する新たなモニタリング体制などについて報告し、了承をいただいてまいりました。
流域市町及び利水関係者の皆様には丁寧に手続を踏んでまいりましたが、今後においても、緊密にコミュニケーションを図ってまいります。
最後に、3点目のうち県議会への御説明についてであります。これまで、長きにわたり、県議会においてリニア工事に係る諸問題について御議論いただき、この段階までたどり着くことができたと考えております。改めて感謝申し上げます。
今後につきましては、来週に予定されている常任委員会においても御審議いただいた上で、本定例会最終日であります7月7日に、私の判断について県議会のみなさまに御説明する機会をいただきたいと考えております。なお、どの様な形で御説明するのかにつきましては、今後、県議会の御判断をお願いしたいと考えております。
以上でございます。
伊藤県議:
ただいま、情報管理を徹底するという主旨のご答弁をいただきましたが、大前提として、先ほどのご答弁頂いたスケジュールが代表質問の際に決まっていたのであれば、そのタイミングで答弁すべきであったと強く思います。他方で、県の重要情報が簡単に漏れてしまうことはご答弁いただいたように今後見直して頂きたいと思います。
次に自然環境保全協定の締結に関して、その協定書の中身を見ると県民の多くの懸念である水環境の保全に関しては読み取れるものの、仮にトンネル工事により水が減少した場合の、水利用継続に向けた措置を講ずることや、この措置だけでは対応が困難な場合の費用負担等のいわゆる補償について、そしてその請求期限や対象機関に期限や限度を設けないという文言はこの協定書の中には記載されておりません。
その理由としては、一連の補償に関する事項は、中央新幹線南アルプストンネル工事により、水利用への影響が生じた場合の対応にかかる確認事項という別の書類で定め、すでに令和8年124日に合意に至っているからです。改めて知事に要望をしますが、この補償に関しては県民の関心事の一つである事から、この自然環境保全協定を結ぶにあたり、この協定に盛り込めるか協議し、仮に盛り込む事が難しいのであれば自然環境保全と共に、補償に関してもすでに合意に至っている事を改めて県民に対して強く発信していただきたいと思います。
最後に1点、質問させていただきたいと思います。先程、様々なスケジュールを言っていただきました。7月1日から申し上げますが、7月1日から、JR東海の社長との面談、そしてそれは住民説明会の内容を正式に受けると言うこと、そして7月2日には、議会に対して議員に対して説明をする。そして7月7日には、県議会への、この最終日の中でおそらく判断に対しての御回答をいただけるんだと承知しました。
ただ一方で、私どもは、今回のくらし環境委員会の委員会資料を本日拝見していますが、住民説明会で出た意見であったりだとか、そしてそれに伴う県の判断と言うものははっきり言ってまだ示されてないと承知しています。そして、仮にですけれども、この7月2日に知事がおっしゃっていただいたように、議会に報告があった場合に、仮に議
員であったりだとか、流域市町から意見が出た場合にどうしますか。
意見が出た場合にやはりそれに対応して7月7日の答弁に向かっていくのが、これも私は1つの協定を結ぶ上での執事だと思っていますので、この仮にスケジュール感で進めていくことでまったく異論はありませんが、やはりこういった住民説明会の内容ですとか、とても重要なことだと思いますので、このあたりの対応について御答弁をいただきたいと思います。
鈴木知事:
リニア中央新幹線静岡工区に係る今後の対応についての再質問についてお答えをいたします。
まず、繰り返しになりますけれども、面会の結果につきましてはですね、まずは県民の代表である県議会のみなさまに速やかにお伝えすることが大切でありますので、7月2日中にですね、お伝えできるようにまずはしたいと考えております。また、そこで、もし意見がですねあったとした場合でありますけれども、そちらについては、まずはしっかりと受け止めさせていただくということを考えたいと思います。
あとそれからですね、その上でありますけれども、先ほど議員からのご指摘を踏まえましてですね、まず流域の市町ですとか利水関係者に対しましてもですね、県議会のみなさまと同様に面会の結果をお伝えするとともにですね、JR東海からの報告につきまして県のホームページに掲載し、県民の皆様にお知らせしてまいりたいというふうに考えております。
以上であります。
伊藤県議:
360万県民を背負った知事と、360万県民それぞれを背負ったわれわれ県議会が、この議場での議論を軽くしてはいけないと心から感じています。先人たちが、言うべきをいい、筋を通してきた中で積み上げてきたこの静岡県議会です。引き続き、丁寧に議論を県民のために積み重ねるよう当局の皆様にもお願い申し上げわたくしの緊急質問を終わります。